2025/08/09 15:52

こんにちは。岡山の焙煎所、吉岡珈琲焙煎所です。
今日はモカについて解説してみようと思います。
モカの魅力が伝わると思いますので、是非最後まで読んでください。
モカ珈琲とは
「モカ」は、コーヒーの愛好家なら一度は耳にしたことがある名称です。しかし、その意味は時代や文脈によって少しずつ異なります。現在、日本で「モカ」と言えば、主にエチオピア産、もしくはイエメン産のアラビカ種コーヒー豆を指すことが多いです。名前の由来は、紅海沿岸に位置するイエメンの港町「モカ港」に遡ります。この港は17世紀から18世紀にかけて、世界中へコーヒーを輸出する一大拠点であり、ここから船出したコーヒーが「モカ」と呼ばれるようになりました。
歴史的背景
コーヒーの起源はエチオピア高原にあると言われています。古くは「カファ地方」で野生のコーヒーの木が発見され、やがて飲用として広まりました。エチオピアから紅海を渡り、イエメンの港町モカに集められたコーヒー豆は、オスマン帝国やヨーロッパ各国へと運ばれました。当時のヨーロッパ人にとって、「モカ港から来たコーヒー」は最高級品の代名詞だったのです。
18世紀以降、コーヒーの栽培地はカリブ海や南米へと拡大しましたが、「モカ」という名前はブランドのように受け継がれ、特に香り高く個性的な風味を持つアラビカ種の代名詞となりました。
産地と特徴
現代の「モカ珈琲」は大きく分けて二つの産地があります。
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エチオピア産モカ
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代表的な産地は「イルガチェフェ」「シダモ」「ハラー」など。
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明るく華やかな酸味、ジャスミンや柑橘を思わせる香りが特徴。
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ナチュラル精製(天日乾燥)ではフルーティでワインのような風味、ウォッシュト精製ではクリーンで繊細な酸味が際立ちます。
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イエメン産モカ
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主な産地は「マタリ」「サナニ」など。
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標高が高く乾燥した気候で栽培され、小規模農家による伝統的な天日乾燥が主流。
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複雑なスパイス香、ドライフルーツやチョコレートのような深みのある甘味が特徴。

モカの風味
モカの魅力は何といっても香りの華やかさと酸味の個性です。エチオピア産は花のような香りと爽やかな酸、イエメン産は熟成感のある甘みと濃密な香りを持ち、同じ「モカ」でも個性が大きく異なります。この香りの源は品種や精製方法、標高に由来します。高地で育つアラビカ種は成熟が遅く、糖度と香味成分が豊かに蓄積されます。
焙煎のポイント
モカは繊細な酸味や香りを生かすため、中煎り〜中深煎りが好まれます。
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浅煎り〜中煎り:花や柑橘のような香りを強調し、軽やかな酸味を楽しめる。
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中深煎り:酸味がまろやかになり、チョコレートやナッツの甘みが引き立つ。
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焙煎時の注意点は「熱のかけすぎを避ける」こと。高温で急速に焙煎すると香りが飛び、苦味だけが強調されてしまいます。
抽出のコツ
モカの香りを引き出すには、ドリップやサイフォンが適しています。
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温度:90〜93℃程度。高すぎると酸味が刺々しくなり、低すぎると香りが引き出せません。
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挽き目:中細挽き。細すぎると雑味が出やすく、粗すぎると香りが弱くなります。
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蒸らし:20〜30秒かけ、香り成分をゆっくり開放させます。
エスプレッソにすると酸味と香りが凝縮し、ミルクとの相性も良く「カフェモカ」や「モカラテ」としても楽しめます。
モカと「カフェモカ」の違い
カフェモカは、エスプレッソにチョコレートシロップとミルクを加えたドリンクで、コーヒー豆の「モカ」とは直接関係ありません。ただし、かつてイエメン産モカの風味がチョコレートに似ていたことから、この名前が使われたとされています。
保存方法
モカは香りが命。焙煎後はできるだけ早く飲むことが望ましいです。保存は密閉容器に入れ、直射日光・高温多湿を避け、冷暗所で保管します。長期保存する場合は冷凍も可能ですが、使用時には結露を防ぐため常温に戻してから開封します。
まとめ
モカ珈琲は、コーヒー発祥の地エチオピアやイエメンの自然と歴史が育んだ、香り豊かで個性的なコーヒーです。その魅力は花のような香り、爽やかな酸味、そして奥深い甘み。歴史的な背景を知ることで、その一杯はさらに特別なものになります。もし日常のコーヒータイムに新しい発見を加えたいなら、ぜひ焙煎度や抽出方法を変えて、モカの多彩な表情を味わってみてください。