2025/09/20 15:42

キャンプとコーヒー。
この二つを組み合わせると、ただのアウトドア体験がぐっと豊かになります。
普段の生活の中で飲むコーヒーは「目を覚ますため」や「リラックスするため」の役割を持ちますが、キャンプで味わうコーヒーはもう少し特別です。
自然の中で自分の手で淹れ、ゆったりとした時間と共に楽しむ一杯は、同じ豆を使っても普段とは全く違う味わいに感じられるものです。
ここでは、キャンプでのコーヒーの魅力、淹れ方のスタイル、シチュエーションごとの楽しみ方、アレンジや道具選びの工夫などを、できるだけ丁寧に紹介していきます。
なぜキャンプでコーヒーが特別なのか
自然の中で飲むコーヒーは、まず空気そのものが違います。朝、森の中で深呼吸をしながら焚き火やバーナーでお湯を沸かし、豆を挽く音に耳を澄ませ、漂ってくる香ばしい香りを嗅ぐと、それだけで非日常のひとときを感じられます。普段の生活では、コーヒーを「ながら飲み」することも多いでしょう。スマホを見ながら、仕事の合間に、通勤中に。でもキャンプでは、コーヒーを淹れること自体が体験になり、その一杯に集中できるのです。
さらに、自然は味覚を研ぎ澄ませてくれます。山や湖畔の清々しい空気の中で飲むコーヒーは、同じ豆でも驚くほどクリアに感じられます。普段は苦いと感じる深煎りのコーヒーも、体を動かした後や冷え込む夜には心地よい温もりに変わります。逆に爽やかな浅煎りの豆は、朝の光とともに一日の始まりを彩ってくれるでしょう。

コーヒーを淹れるスタイルいろいろ
キャンプで楽しめるコーヒーの淹れ方には多くのスタイルがあります。荷物の量や手軽さ、本格度に応じて、自分に合った方法を選べます。
インスタントコーヒー
もっとも手軽なのがインスタントです。お湯を沸かすだけで完成するので、登山や軽量化を重視するキャンプにぴったりです。最近はフリーズドライ技術が進歩し、香りや味も本格的なものが増えてきました。手軽さを優先したいときや、朝起きてすぐに飲みたいときには強い味方です。
ドリップバッグ
小分けの袋に入ったドリップバッグは、軽量かつ簡単に本格的な味を楽しめます。カップにセットしてお湯を注ぐだけで、淹れたての香りが立ち上がります。特にソロキャンプや少人数のキャンプにはおすすめです。
ハンドドリップ
コーヒー好きなら一度は試したいのがハンドドリップです。ペーパーとドリッパーを持参し、挽きたての豆をセットして丁寧にお湯を注ぎます。少し荷物は増えますが、豆の個性をしっかりと引き出せるため、キャンプのひとときをより豊かにしてくれます。
フレンチプレス
粗挽きの豆をお湯に浸けて、数分待ってからプレスするスタイルです。オイル分を含んだまろやかで濃厚な味わいが特徴で、手順もシンプル。ガラスやステンレスの容器なので、アウトドアでも安心して使えます。
パーコレーター
キャンプの雰囲気を最大限に楽しみたいならパーコレーターがおすすめです。金属製のポットに豆と水を入れ、直火にかけて煮出す方法で、映画やドラマでよく見る「キャンプの象徴」ともいえる存在です。コトコトと音を立てながら抽出される様子を眺めるのも楽しく、時間の流れをゆったり感じられます。

シチュエーション別の楽しみ方
コーヒーの味は、どんな場面で飲むかによって印象が変わります。キャンプならではのシチュエーションを想像してみましょう。
朝焼けとともに:鳥のさえずりとともに目覚め、冷たい空気の中で温かいコーヒーを飲む。浅煎りの爽やかな豆がよく合います。
焚き火のそばで:夕方、火を囲んで語らいながら飲む一杯。深煎りでしっかりした味わいがぴったりです。
食後の締めくくりに:バーベキューやカレーを楽しんだ後、コーヒーで口の中をリセット。スッキリした中煎りを選ぶと食事との相性が良いです。
星空を眺めながら:夜はカフェインレスを用意しておくと、眠りを妨げずにリラックスできます。
コーヒーのアレンジを楽しむ
キャンプでは少し工夫を加えるだけで、コーヒーをより特別な飲み物にできます。
ミルクを温めて加えれば「キャンプラテ」。
シナモンやココアパウダーを振りかければカフェ風に。
夏なら氷をクーラーボックスに入れて持参し、アイスコーヒーに。
焚き火で温めたホットミルクと合わせれば「カフェオレ」も絶品です。
豆の選び方
キャンプコーヒーをさらに楽しむには、豆選びにもこだわりたいところです。
浅煎りは爽やかな酸味で、登山後や朝にぴったり。
中煎り~中深煎りはバランスが良く、どんなシーンでも無難に楽しめます。
深煎りは寒い夜に飲むと体に染み渡る濃厚さを感じられます。
地域をイメージしたブレンドを持参するのも面白いでしょう。たとえば、山岳地帯ならしっかりした苦味のブレンド、海辺なら爽やかな酸味を効かせたブレンドなど。
吉岡珈琲焙煎所のオススメはすっきりとしたモーニングブレンドやコクがある満月ブレンドなどです。
初心者と本格派、それぞれのスタイル
初心者には、ドリップバッグ+コンパクトバーナー+軽量ポットがおすすめです。荷物が少なく、失敗も少ないので安心して楽しめます。
一方で本格派なら、手挽きミル+ドリッパー+専用ケトル+お気に入りの豆を持参して、自宅さながらの抽出に挑戦するのも良いでしょう。豆を挽くゴリゴリという音や、湯を細く注ぐ集中のひとときがキャンプの時間をさらに充実させてくれます。
まとめ
キャンプでのコーヒーは、ただ飲むためのものではなく「体験」そのものです。淹れる過程を楽しみ、自然の中で味わい、仲間と分かち合う。インスタントでも本格ドリップでも、それぞれの良さがあります。重要なのは「自分にとって心地よいスタイル」を見つけること。
自然の中で淹れた一杯のコーヒーは、きっと忘れられない味になるはずです。